10月上旬、アメリカでとある20代女性が安楽死をすると宣言したことで各地で議論が起きている。
(参照:終末医療の意識調査 国民の55.9%が「全く話し合ったことがない」と回答。医師、看護師も低い数値。)
ブリッタニー・メイナードさんは今年1月に激しい頭痛などの症状を訴え、検査の結果悪性の脳腫瘍と診断された。側頭葉の一部を切除するも腫瘍は大きくなり悪化。4月には余命6ヶ月の宣告を受けたという。メイナードさんは残された時間が少ない中、意味のない治療は受けられないとして安楽死を選択。しかし、住んでいたカリフォルニア州では安楽死は認められていないため、1997年よりそれが合法となっているオレゴン州のポートランドに移住した。メイナードさんのこの「安楽死宣言」は世界各地で批判や議論の的となった。
一方日本では、終末期の医療やケアに関する意思(リビングウィル)の実現率は0.1%と低い。日本尊厳死協会は、高齢化社会におけるリビングウィルの法制化の必要性を訴えている。尊厳死や安楽死といったテーマがタブー視される風潮があるが、こういった議論を繰り返し行っていくことで、日本でも尊厳死や安楽死についての啓発、法制化につながる。
なお、10月上旬に公開されたインタビューでメイナードさんは11月1日に死を受け入れると宣言していたが、今週水曜日の夜(現地時間)に新たに公開されたインタビューでは、家族や友人とは今でも楽しい時間を過ごせていることから、1日の安楽死は取りやめ、もう新たな日程は設定しないつもりでいることを明らかにしている。