昨年11月、安楽死を希望する29歳のアメリカ人女性が、安楽死が合法化されているオレゴン州へ引っ越し「安らかな死」を迎えたことに、たちまち世界中で議論が巻き起こった。宗教的な背景から否定的な意見も多いが、安楽死を望む人は彼女だけではなく、治る見込みのない病などに苦しむ人々からもそれを望む声は多い。
(参照:29歳女性の「安楽死」という選択―世界各地で議論)
Photo:lately, it seems like you’ve found your place : national cemetery, san francisco (2013) By torbakhopper
サンフランシスコに住む女性は、今月11日、カリフォルニア州に安楽死を認めるよう訴えを起こした。彼女は白血病とリンパ腫を患っており、放射線治療や化学療法、骨髄移植手術などの治療を受けてきたという。11日に記者会見では、自分の選んだ場所・時間で安らかな死を迎えたいと訴えている。アメリカでは、オレゴンとワシントン、バーモントなど5つの州で安楽死を認めているが、カルフォルニア州では認められていない。
治る見込みのない病を抱え続けることの重大さから、「死ぬ権利」を主張する人々は少なからず存在する。2008~12年の5年間でスイスに安楽死を目的として訪れた「自殺旅行者」は611人いた。スイスでは、自殺ほう助の具体的な条件となる法律は存在していない。特に英国やドイツからの旅行者が多く、その半数以上が女性で、複数の疾患を抱える人が多かったという。