1968年頃に福岡県や長崎県を中心に発生したカネミ油症。当時健康被害を受けた人の子や孫にも影響が表れているという現状を受け、救済が求められている。
(参照:イタイイタイ病 80歳男性2人を新たに認定)
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カネミ油症は、カネミ倉庫製の米ぬか油にまじったPCB(ポリ塩化ビフェニール)やダイオキシン類が原因となる疾患である。症状としては吹き出物や目やに、つめや歯茎などの変色、倦怠感、視力の低下、骨の変形や関節の痛み、脳梗塞まで様々なものがあげられる。当時カネミ油症にかかった女性から皮膚が黒ずんだ「黒い赤ちゃん」が生まれたという例も数多く報告されたように、その子どもや孫にも現在に至るまで影響を及ぼしているケースが多く、被害者たちは救済を訴えている。
現在、カネミ油症被害者として認定されているのは2256人。厚生労働書が被害者を対象に実施した調査によると、男女1406人のうち日常生活での悩みやストレスがある人は80%を占め、とくに自身の病気や介護に不安を抱えている人が多かった。
今年6月、国とカネミ倉庫、認定患者による協議が行われた。第3回目となる3者協議は非公開で行われ、カネミ側が負担する「油症患者受療券」の使用可能な医療機関拡大の方針が決まった。治療法が確立されていないこともあり、これからも患者の納得のゆく社会保障や対応が望まれる。