全身の筋肉が徐々に縮んでいく筋ジストロフィーのうち、日本人に特に多く見られる「福山型」について、異常が起こるメカニズムと治療の手がかりを神戸大学医学部の戸田達史教授らのチームが発見した。戸田教授らの研究グループは、13年前に発見された「フクチン」と呼ばれる遺伝子の中に他の遺伝子が入り込むことにより、正常なたんぱく質が作られなくなってしまい、やがて筋肉に異常が発症することを、マウスを使った実験により突き止めた。
さらに研究グループは異常の元となる遺伝子が働かなくなる物質「アンチセンス核酸」をマウスに注射したところ、フクチンが正常に働き、再び正常なたんぱく質が作られるようになったことも発見した。
研究グループはアンチセンス核酸を患者の細胞に投与する実験も行っており、こちらでも萎縮した筋肉が回復したことから、今回の発見が筋ジストロフィーの根本的な治療法の確立につながるのではないかと期待を寄せている。