永田 宏氏による著書『貧乏人は医者にかかるな! 医師不足が招く医療崩壊』は過激なタイトルだが、医療崩壊を厚労省が公開しているデータから医師不足の現状と原因を分析。海外の医療崩壊の様子を紹介しながら、団塊の世代が後期高齢化を迎える2025年時点での日本の医療のあり方を探っている。
永田 宏氏は筑波大学大学院修士課程理工学研究科出身、その後KDDI研究所で医療情報研究に従事。医学博士、理学修士。鈴鹿医療科学大学教授。医師ではなく医療情報学から日本の医療制度、医療崩壊に付いて語っている。
amazonのブックレビューでは医療崩壊の入門として評価が高い。
以下ブックレビューより抜粋
「医療界の悲鳴と政治への怒りに満ちた一冊」
医療機関における深刻な医師不足、そして現場の疲弊、そこから逃避する医療関係者、ますます疲弊する医療現場。こうした状況はもはや地方だけの問題ではない、着実に全国に広がりつつあるという。その原因を本書は政治ミスが招いたものだと断定する。
「医師不足のたどる道」
本書では、この医師不足を認めない厚生労働省の態度の根本原因を、各種医療統計および厚生労働省の検討会資料用いて的確に分析している。
医師不足を取り上げた書籍は最近複数出版されてきているが、大部分は医師によるもので、専門的すぎ難解であり、なかなか共感を得にくいものが多い。そういった現状の中で、医療情報を専門とする著者は、客観的に冷静に現状を分析しており、読みやすくわかりやすい。
「医者は輸入、患者は輸出」
過激なコピーなのであまり期待はしていなかったが、どっこい、医療システムの構造的問題点が明快に説かれている。しかも文章にムダがなく読みやすい。特に20年後に怒るであろう未来予測は、すべての国民が知っておいて損はない。
医療に無縁な人間などいないのだから。
■永田 宏 (著) 『貧乏人は医者にかかるな! 医師不足が招く医療崩壊』 集英社(新書)、2007年