一昔前と比べると女性医師の割合は年々増加しており、さまざまな医療現場で女性が活躍しています。
平成24年度の厚生労働省のデータを見てみると、女性医師の割合は19.7%を占めていることがわかり、さらに29歳以下の若い医師に限定すると、全体の35.5%が女性です。
この数字を見ると、若い世代では女性医師がたくさん活躍していることがわかります。この一方で、30代から年齢が上がるにつれて、女性医師の就業率が減少していることも明らかとなっています。特に世界と比較をすると、日本の女性医師の少なさは明確です。
一体なぜ年齢が上がるにつれて日本の女性医師の割合が減少していくのか、また世界と比較したときの30代以上の女性医師の就業率の問題点などをチェックしてみましょう。
年齢が上がるにつれて女性医師の割合が減少している!?
医師不足という問題が注目されている今、女性医師の就業率の減少にも目が向けられています。
先述している通り、29歳以下の若い世代では女性医師が活躍しているため、未来への前向きな光が見えるようにも思えますが、30代以降になると就業率が少しずつ減っているのが現状です。キャリアを積み、医師としての実力や自信がついてくる年代の女性医師が減少しているのです。
年齢別に見てみると、30代の女性医師の比率は全体の約30%、40代の女性医師は全体の約20%、50~70代以降の女性医師は全体の約10%。おおよその数字ではありますが、年齢を追うごとに女性医師の就業率が減少していることは明確です。
日本の女性医師の就業率が減少する原因とは?
30代以上の女性医師の就業率が減っていく最大の理由は「妊娠」「出産」「子育て」です。
30代になると結婚や出産を経験し、休職や離職をする女性医師が増えるのです。
出産のために仕事を一時休職するのは当然ともいえますが、その後の子育てにおいては家族の協力が得られれば解決できる問題でもあります。働きながら子育てをし、並行して家事も行うとなるともちろん苦労もありますが、医師不足の問題を解決させ女性医師の活躍の場を広げるためには、女性医師の子育て支援が必要不可欠だといえます。
世界と日本で女性医師の割合を比較してみよう!
日本を世界と比べてみると、女性医師の割合の少なさに驚くことになります。
スウェーデンやイギリスでは医師全体の約46~47%が女性医師で占めており、アメリカでも医師全体の約34%が女性医師です。
日本でも女性医師の割合が増えていることは事実ですが、世界と比較をすると大きな差を感じます。
また、女性医師の割合の多さで目立つスウェーデンは、女性の就業率が高いことが特徴。
職業は問いませんが、20~64歳の女性の約80%が就業しているといわれていて、スウェーデンの子育てサポートが充実していることが影響しているといえます。
育児休暇の日数やその間の給与、児童手当や保育所の確保など、たくさんの配慮がされていて、男女関係なく育児に積極的になれる環境が整っているのです。
スウェーデンでは、男性が育児に参加することは当然といっても過言ではありません。
女性にとって妊娠や出産、子育てはとても重要なことであり、人生の喜びでもあります。
しかし、努力を積み上げて手に入れた女性医師という仕事も大切にしたいもの。
子育てと平行して医師の仕事を続けるためには、配偶者や周りのサポートが必要不可欠になるのです。
また、勤務する病院によっても出産や育児に対する考え方が異なります。子育てと仕事を両立するためにも、働き方を変えたり転職をするというのも1つの方法です。
医師としての将来を見据え、一度検討してみてはいかがでしょうか。