昨今の医療現場で問題視されている「コンビニ受診」。
これは夜間や休日などの外来受診以外の時間に、24時間営業の便利なコンビニを利用する感覚で患者が救急外来を受診することを指した言葉です。
一般的に救急外来は、緊急な大怪我や重度の病状などが起こったときに利用するもの。
しかし最近では、緊急性のない軽度の風邪やケガなどで救急外来に訪れる患者が増えています。そこで今回は、今の医療現場で問題視されている「コンビニ受診」がもたらす影響や、これを防ぐために医療従事者がやっておくべき対策法をご紹介いたします。
「コンビニ受診」が医療現場にもたらす影響とは?
さまざまな地域や病院で問題になっているコンビニ受診。
「風邪を引いたけれど日中は仕事で病院に行けないから」「平日は用事で埋まっているから」「夜のほうが病院は空いているから」というような実に個人的な理由で、コンビニ受診を行う患者も増えています。
しかし、本来の救急外来は緊急患者のために行われているもの。夜間や休日ならば、訪れる患者は少数だろうという想定をして診察体勢が組まれています。
そのため、気軽な気持ちで救急外来を利用する患者が増え、コンビニ受診が世の中に浸透してしまうと、本当に重症で困っている急患の受け入れが難しくなってしまうのです。
さらにコンビニ受診をする患者の中には、救急なのにもかかわらず精密検査などの高度な診察を要求する方もいます。これに対応しようとすると、長い時間や大きな労力が必要になるほか、専門医への協力を統制しなければならないことも。
当然担当医師への負担も大きくなるため、体力の消耗や過労につながります。
このようにコンビニ受診は、医療の現場に大きな影響をもたらすもの。
医師は患者が診察に訪れた際には、いくらコンビニ受診にしても手加減をして診察することはできません。これでは病院側への負担が大きくなる一方です。
とはいえ、患者の中には症状が軽度なものだとしても、本当に不安で救急外来を受けてしまう方もいます。それでは、一体どのようにしてこのコンビニ受診を防げばいいのでしょうか。
次に、コンビニ受診を減らすために行っておくべきことをご紹介いたします。
コンビニ受診を防ぐために! 医療従事者ができる対策法とは?
先述している通り、最近では自分本位な理由でコンビニ受診を行う患者も多くなっていますが、中には体調不良への不安感から救急外来に訪れる方もいます。
しかし、少しの発熱や通常の風邪症状、頭痛などであれば緊急性は少ないもの。
このような緊急性の少ない患者のコンビニ受診を防ぐためには、患者が自ら病状の判断をできるようになる対策を取ればいいのです。
そのためには、日頃から医師たちが患者に適切な診察のタイミングを指導したり、軽度症状の場合は様子を見ることも大切なことを伝えておくことが肝心です。
また、救急外来を行っている病院ではなく、かかりつけの病院との信頼関係を築くことの大切さを説明することもコンビニ受診対策につながります。
日頃から通っている病院であれば、これまでの病気やアレルギー、健康状態のことがいち早く分かるため、スムーズな診察ができるなどのメリットを伝えましょう。
あわせて、本来ならば日中に行っている外来受診の時間内に訪れるべきだということをきちんと勧めることも大切です。
コンビニ受診が問題になっているのは、「自分1人くらいが救急外来に行っても、大した手間にはならないだろう」という考えの患者が増えたため。しかし、これが全国で1人から2人へ…… と数が増えていくことで、大きな問題へと発展してしまったのです。
医療に携わる医療従事者1人1人がコンビニ受診ときちんと向き合い、患者数の減少を目指す対策を行うことが大切です。