立体的なものをプリントできる3Dプリンターは、建築や芸術などいろいろな分野で活躍の場を広げていますが、最近では歯医者や心臓外科の研究など医療分野にも取り入れられています。もちろんまだまだクリアするべき課題や問題はありますが、近い未来この3Dプリンターが医療分野に大きなメリットをもたらすといわれているのです。
一体、どのようなことに3Dプリンターが使われるのか、医療の場での3Dプリンターの活用方法について見ていきましょう。
医療現場での3Dプリンターの活用方法とは?
MRIやCTなどの画像データをもとにして、立体的な臓器や人体のレプリカを作ることができる3Dプリンター。見た目はもちろん、質感や色味なども本物にとても近く仕上げることができるとして注目を浴びています。
また、外見の作りだけでなく、メスを入れて見たときの内側も本物そっくりに再現されていることからも、その精密さを伺うことができます。このことから3Dプリンターは、さまざまな医療に役立てることができると期待されており、今もその研究は進められているのです。実際にどんな期待をされているのか詳しくご紹介いたします。
・診断がしやすくなる
これまでは写真でしか確認することができなかったデータを3Dプリンターで立体化することで、症状の診断や病巣の発見がより正確にできるようになると予想されます。
あらゆる角度から違った見方をすることで、見落としがちなものにも目が届きやすくなります。
・手術の計画が立てやすくなる
手術前のミーティング時に3Dプリンターで作成したレプリカを見ながら行うことで、実物が想像しやすくなり、手術方法や流れの検討がより詳細にできるようになります。手術の計画が立てやすくなることは、業務スピードを上げることにもつながると考えられます。
・手術前に練習ができる
複雑な手術や珍しい症例の手術を行う場合、執刀医には大きな負担がかかりますが、事前に実際の臓器のレプリカを見たり切ったりすることで、手術のイメージトレーニングとして役立てることができます。前もってシュミレーションを行っておくことで、本番に余裕を持つことができるでしょう。
・患者への説明がしやすい
医療や人体の知識が少ない患者への説明は難しく、患者とのコミュニケーションが上手くいかないこともあります。しかし、レプリカを使って一緒に目で確認しながら説明をすることで、病状や手術内容の説明、治療計画などを分かりやすく伝えることができます。
・人それぞれにあった義足や補助器具などが作成できる
義足や補助器具などは人それぞれにぴったりとあったものが必要ですが、患者のデータをスキャンしてそれを3Dプリンターで作ることで、精密で正確なものを作ることができます。これからは人工臓器やインプラント機器などにも3Dプリンターを取り入れようという動きが出ることが予想されます。
3Dプリンターが医療分野に本格的に活用されるようになると、医療技術などの成長はもちろん、経済効果にも大きな影響を与えるといわれています。これからの3Dプリンターの成長と活躍に期待が高まるばかりです。