医師が不足している分野と言えば産婦人科や小児科が思い浮かびますが、実は精神科も医師が不足している分野です。
日本は現在、過度なストレス社会となり、うつ病などの精神疾患を抱える人が少なくありません。
こうした精神疾患の増加が社会問題となり、平成27年から企業は従業員に対しストレスチェックを行うことが義務となりました。
このように心のケアに注目が集まっている今、精神科医のニーズも同時に高まってきています。
年々増加する患者数
近年、精神疾患による医療機関の受診者数は増加傾向にあり、平成17年には300万人を突破、平成23年は320万人を越えました。
この数字は、なんとガンと診断される人の2倍以上。
内訳はうつ病が最多で、統合失調症、不安障害、認知症が続いていており、最近ではうつ病、認知症の急激な増加が特徴です。
患者数が増加している背景には、現代社会のストレスの多さに加えて精神疾患への認知度が高まり、精神科を受診するための敷居が下がってきたことが挙げられます。
精神科の認知度が上がるにつれ、開業するクリニックが増加してきていることも要因の一つです。
社会の複雑化や高齢化に伴い、患者数はさらに増加すると見られています。
企業におけるストレスチェックの導入
日本は自殺大国と言われる通り、平成9年から21年までは毎年3万人以上、平成22年以降の自殺者も3万人に迫る勢いで推移しています。
交通事故による死亡者は平成21年以降年間4,000人台で、最も交通事故死が多かった昭和45年の16,765人よりもはるかに多の人が自ら命を絶っているのが現状です。
自殺者の年代では40代、50代という働き盛りの人が多いこと、うつ病と診断される人の増加を受け、政府は企業に対し、定期的に従業員のメンタルヘルスをチェックする「ストレスチェック制度」を導入、メンタル不調によるリスク軽減を図ることにしました。
今までも精神科の受診者数は増加傾向にありましたが、このストレスチェック導入を受け、精神科を受診する人の人数は増加すると予想されます。
そのため、厚生労働省では事業場の状況を日頃から把握している産業医が、ストレスチェックを含めや面接指導等の実施に直接従事することが望ましいと考えており、精神科専門の産業医を希望する企業が増加傾向にあります。
精神科医へは転科しやすい?
現在、日本の医師数は約27万人、そのうち精神科医は約14,000人と全体の5%ほど。精神科医の数に対し、病院数は全体の10%、病床数は20%なので、精神科は医師が不足しているのが現状です。
さらに、増加する精神疾患に対して政府が国を挙げて対策を取る方針を決めたため、精神科医の不足は深刻な問題となってきており、医師不足の解消が急がれています。
精神科医の仕事は、患者を問診して投薬をするので内科に近いと言えます。
違う点は、薬の効き方に個人差が大きく、適正量の幅が広い点。
また高齢の患者は高血圧や糖尿病など、その他の疾患を抱えていることも多いので、内科のスキルが役に立ちます。
そのため精神科は、内科を始めとする他科から転科してきても比較的なじみやすい診療科なのです。
医師が不足し、社会的なニーズも高まっている精神科。
他科から転科してもなじみやすいというメリットもあるため、今後の働き方について考えている方は精神科も検討してみてはいかがでしょうか。
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